スピンオフ上場準備は順調
両事業それぞれユニークな独自戦略を加速
当社では、昨年からお伝えしておりますとおり、2025年内に当社の連結子会社である株式会社AGESTの株式分配型スピンオフ及び上場(以下、「スピンオフ上場」)を行うことを目指し、その準備を進めております。その一環として当社では、2024年4月1日付でスピンオフ上場に向けた新たなマネジメント体制へと移行し、両事業それぞれの専門性や成長戦略に特化した事業運営に注力しております。日本ではまだ事例の少ないスピンオフ上場ですが、明確に異なる事業価値創造戦略を有する2つの事業を個別に上場することで経営フォーカスを高め、最適な資本政策でそれぞれの事業の持つポテンシャルを最大化し、事業及び株主・顧客・従業員等すべてのステークホルダーに最良の効果をもたらすことを目指しています。
当中間連結会計期間では、DHグループ事業において、国内外のグループ会社間やアライアンスパートナーとの連携を強化することで、翻訳・LQAや音声収録、マーケティング支援等、コンテンツのグローバル展開に必要なサービスをワンストップで提供できる体制の構築を図るとともに、“ChinaJoy”(中国)や”gamescom”(ドイツ)をはじめとする各国最大規模のゲームショウへの積極参加を通じ、“デジタルハーツ”の認知度向上やグローバルブランドの確立に注力いたしました。また、AGESTグループ事業においては、引き続きハイスキルエンジニアの採用を強化するとともに、単なるテストの実施代行ではない、シフトレフトに対応した付加価値の高いQAソリューションの提供に努めることで、新規案件の獲得や競合他社との差別化に努めてまいりました。
これらの取り組みの結果、DHグループ事業・AGESTグループ事業ともに増収増益を達成し、当中間連結会計期間の売上高は19,906百万円(前年同期比106.6%)、営業利益825百万円(前年同期比113.1%)となりました。一方、会社計画に対しては、DHグループ事業は概ね計画通り進捗しているものの、AGESTグループ事業が当第1四半期に発生した特定案件のクライアント側のスケジュール変更等の影響大きく、進捗が遅れていることから、この度通期連結業績予想を修正することといたしました。上期は、当社側ではハンドリングが難しいイレギュラー案件により、AGESTグループ事業で想定していたような実績を出せず大変悔しく思っておりますが、足元では大手自動車メーカーや大手流通企業からの大規模・継続案件の獲得が進んでおり、下期は期初に計画した業績と同水準に回復することができると考えています。
また、中長期的な成長に向けてのアクションについては、各事業独立経営を行うようになったことで、今まで以上にスピード感をもってそれぞれの特色を出したユニークな成長戦略を推進しています。その象徴的なものの1つの事例がAI活用です。DHグループは、クライアントが抱えるゲームの世界同時発売に対する課題を解決するため、「ELLA」というDHグループにしかできないゲームに特化した画期的なAI翻訳エンジンを株式会社ロゼッタと共同開発いたしました。すでに「ELLA」をお試しいただいたお客様からは、ゲームの世界観やキャラクターの個性を反映した翻訳品質に高い評価をいただいており、来年早々にはアジア言語に続きヨーロッパ言語を実装する予定です。一方、AGESTグループでは、エンジニア人材不足のなか精度の高いテストを短期間で実施するため、「TFACT」という独自のAIテストツールの開発を進めています。この「TFACT」では、事前準備や結果検証・分析等をエンジニアに代わりAIが実施することで、圧倒的なスピード、高度なQA、エンジニアのリソース不足の解消を目指しています。このように、同じ“AI活用”でも全く異なる角度からのアプローチを行っており、やはり、それぞれ1つの事業にフォーカスしたほうが、このような新しいチャレンジを加速させることができると実感しています。
今後も、DHグループ、AGESTグループともに、それぞれの専門性やユニークネスを活かした独自の成長戦略を強力推進することで、企業価値の向上に努めてまいります。株主の皆様におかれましては、当社グループの今後にご期待いただき、引き続き変わらぬご支援をいただけますと幸いです。
2024年11月7日
代表取締役社長 CEO
筑紫 敏矢