引き続き独自の成長戦略を推進することで、
“AI時代に勝てる”企業グループへの進化を目指す

 2026年3月期(以下、「当期」)は、Nintendo Switch 2の発売を機にコンソールゲーム市場が好転し、ゲームデバッグの需要が急増いたしました。当社ではこのような需要増加を見越し、前期末から600台を超えるNintendo Switch 2専用テスト機材を整備するとともに、テスター人材の採用・育成強化や拠点間の垣根を越えたリソース共有等を通じ、クライアントのニーズに合わせた柔軟かつ機動的なオペレーションに全社一丸となって取り組んでまいりました。その努力の甲斐もあり想定以上にデバッグの新規案件獲得が進むなど、非常に好調に推移いたしました。一方、エンタープライズ向けにサービスを提供するAGESTグループ事業では、AIの普及拡大等を背景に受託開発やセキュリティ監視といった一部の事業が縮小したものの、主力のソフトウェアテストは引き続き増収トレンドを継続することができました。

 当期の売上高は、前期売却した子会社の連結除外の影響大きく、前期比2.1%減の38,928百万円となりましたが、前述した通りゲームデバッグが好調に推移しグループ全体の業績をけん引したことから、本子会社連結除外の影響を除く実質ベースでは前期比6.2%増の増収を達成しております。また、営業利益も、収益性の高いゲームデバッグの高成長により2,626百万円(前期比8.1%増)と増益を達成するなど、着実に業績を拡大することができました。
 その一方、当期は、AI技術の急速な進展を背景に当社グループを取り巻く事業環境が急速に変化し始めていることを強く実感した一年でもありました。当社も、サービス品質の向上や業務効率化に向けAI活用を積極化させつつも、当社にしかない“ユニークな人材”や“技術力”を活かした価値創造をより一層強化していかなければならないと考えております。また、いわゆる「アンソロピック・ショック」により、IT関連銘柄の株価が大幅に下落するなど、2026年に入りAIの影響により株式市場も不安定な状況が続いています。そのため、当社では、2023年5月より準備を進めていた当社の連結子会社である株式会社AGESTの株式分配型スピンオフ及び上場(以下、「スピンオフ上場」)の方針を取り下げるといった戦略的な方針転換を図るとともに、AI時代において競争力のある事業基盤の構築を最優先課題として取り組んでおります。今後、DHグループ事業では、ゲームに精通した人材ならではの“感性”、“感覚”、“閃き”を活かした「“エンタメ品質”保証」の海外展開に向け、国内外のグループ会社間のみならず、業務提携契約を締結している海外企業との連携を強化することで、デバッグ、翻訳・LQA、多言語音声収録等をワンストップでグローバルに提供できる体制の構築に努めてまいります。また、AGESTグループ事業においては、当期ローンチした独自のAIテストツール「TFACT」及び脆弱性リスクを可視化するツール「SBOM Archi」を活用したソリューションの展開を強化することで、エンジニア数に依存しない新たな収益モデルの構築を目指します。さらに、新たにCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)部門を立ち上げ、当社にはない技術・アイディア・ビジネスモデルやイノベーター人材等の獲得が期待できる企業への投資を積極化するなど、既存事業と異なる新たな市場や領域への進出や投資への挑戦を加速させてまいります。
 これらの取り組みを推進することで、2027年3月期は売上高41,080百万円(前期比5.5%増)、営業利益2,730百万円(前期比4.0%増)の達成を目指してまいります。

 また、当社では、このような成長投資を積極化させつつも継続的かつ安定的な株主還元の実施を目指しており、その姿勢を明確化する観点から、当期の期末配当より配当方針を“累進配当”へと変更いたしました。今後も当社は積極的に新たな挑戦を行うことで企業価値向上を図るとともに、株主の皆様への利益還元にも努めてまいります。

 AIの進化もあり、今ビジネスの環境は目まぐるしいスピードで変化しています。足掛け3年間取り組んできた株式会社AGESTのスピンオフ上場という大きな経営課題を成し遂げられなかったのは、経営者として忸怩たる思いではありますが、この変化をチャンスと捉え、創業以来ベンチャー精神溢れる当社グループを、AI時代においても社会に必要とされる企業へとさらに進化させる所存です。株主の皆様におきましては、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2026年5月13日
代表取締役社長 CEO
筑紫 敏矢